10月4日に行われた審議により、2023年から「9価HPVワクチン」が定期接種となる方針が示されたことが報じられました。HPVとはヒトパピローマウイルスと呼ばれるウイルスで、性交渉によって感染し、子宮頸がんや肛門がん、咽頭がん、陰茎がんなどの原因になることが分かっています。
現在は、2価、4価のHPVワクチンが承認されており、これらのワクチンには16、18型という最もがんを起こしやすいHPVが対象となっています。しかし、9価HPVワクチンは、16、18型以外にも子宮頸がんの原因となるHPVが含まれており、2023年からの定期接種が期待されています。
なお、接種回数については2回か3回か、男性にも定期接種するかについて検討が続けられています。
子宮頸がんのほとんどは性交渉によるHPV感染で生じることが分かっており、HPVワクチンは子宮頸がんを予防する効果が明らかにされています。スウェーデンで行われた、10歳から30歳までの女性1,672,983人の集団を対象とした研究では、17歳未満で接種した女性は未接種者よりも子宮頸がんの発症率が0.12倍、17~30歳で接種した女性では0.47倍でした。
このように、性交渉前に接種する方が効果が期待されます。ただし、HPVワクチンによって子宮頸がんを100%予防できるわけではなく、子宮頸がん検診との組み合わせが重要です。
副反応には、9価ワクチンはこれまでのワクチンに比べて安全性のデータは多くありませんが、全身性の副作用は4価と同程度とされています。日本国内でも11万回以上の接種が行われており、副反応疑いが報告されたのはわずか30件という低率でした。
HPVワクチンの副反応については、接種部位の痛みや腫れが高頻度でみられますが、稀にアナフィラキシーなどのアレルギー反応、ギラン・バレー症候群などの神経症状も報告されています。
この結果、2030年までに国内の子宮頸がん患者数を半減することが目標とされており、今後の対策に期待が集まっています。特に、HPVワクチンが子宮頸がんの予防に重要であることが再認識され、積極的な接種を促す取り組みが求められると感じました。
ソース記事:https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20221011-00318927