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ウイルスの起源を巡る対立、過去のエイズ生物兵器説を振り返る

新型コロナウイルスの起源を巡り、各国の対立が深まっている。中国では、米軍が武漢市にウイルスを持ち込んだと主張するトーンが見られる。アメリカでも、トランプ大統領が新型コロナウイルスは武漢の研究所を発生源だと主張しながら、WHOも専門家による緊急委員会の内容を公表し、ウイルスの起源を特定を進めることを表明している。

ウイルスの起源にかかわることは、国家同士の問題へと発展してしまう。このようなことは、過去にもあった。エイズで見られた、国際的な偽情報の例から病を巡るフェイクとその影響を探り、こういった話への対処法を考えたい。

1983年に、インドの日刊紙『パトリオット』に匿名の手紙として載された記事によって、後天性免疫不全症候群(エイズ)は米国防総省の生物兵器研究の結果生まれたと主張するようになった。

しかしこの記事は、実はソ連の干渉によって、1975年だけでインド国内でKGBによる偽情報記事が5510も掲載されたことが記されており、ソ連の偽情報工作の一大拠点だった。

パトリオット紙もソ連の偽情報を流すために1962年に創刊され、エイズの病因に関しても、東ドイツの情報機関、国家保安省(シュタージ)がKGBのパートナーとして参加し、影響力のエージェントとして利用したことが記されている。

ソ連は、情報を広めることも重要な任務と位置づけており、その目的は、対象国の信用を毀損することから、混乱をもたらすこと、国民の認識操作まで様々であった。

しかしながら、現在の研究では、エイズを引き起こすHIVは、20世紀前半に中部アフリカで発生したと考えられており、人為的に生み出されたという説は成り立たない。

ソ連の干渉により、エイズが生物兵器であるとのフェイクニュースが広まってしまったことで、世界中の人々にパニックや恐怖を与え、多大な影響を与えた。

新型コロナウイルスが人為的に生み出されたという説は、科学的な根拠がなく、伝聞に甘えたものである。このような誤った情報は、信頼できる情報源から得られるものでないという予防策が必要であり、公的機関からの正確な情報収集が重要である。

また、病原体の起源に関して偽情報が拡散されることがあった過去から学び、科学的な根拠に基づいて、信頼できる情報源から発信された情報のみに基づいて行動することが大切である。

ソース記事:https://news.yahoo.co.jp/byline/dragoner/20200505-00176560

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