人獣共通感染症（zoonosis）についての最近の研究結果が発表されたことが報じられました。この病気は、野生動物から家畜などの動物を介してヒトに感染するものであり、ワクチンや治療法のない病気が多いです。
例えば、ウシからは天然痘や結核、ブタやアヒルからはインフルエンザ、ネズミからはペストなどが感染する可能性があります。この研究では、特にヒトと哺乳類の共通ウイルスに焦点を当てており、接触の多さや時間の長さ、感染方法といった要素によってリスクが変わることがわかりました。
コウモリが自然宿主となっている人獣共通感染症は意外にも多く、エボラ出血熱やSARSなどがその一例です。コウモリは洞窟などで集団を形成し、病原体の拡散に適していることから、大流行（パンデミック）を引き起こしやすい存在とされています。
実際、研究ではコウモリが最も多くのウイルスを持っていることが明らかになりました。他にも霊長類や齧歯類もリスクが高い動物とされています。
また、新大陸における先住民族の人口減少についても触れられました。ヨーロッパ人が新大陸に到達した際、持ち込まれた病原菌が原因で多くの先住民が死亡したとされています。
この理由について、ヨーロッパ人が古くから家畜と一緒に暮らしてきたことが挙げられます。人獣共通感染症にさらされた経験により、ヨーロッパ人は感染症に対する免疫力を獲得していたのに対し、新大陸の先住民族は家畜との接触機会が少なかったために、感染症に弱い状態だったと説明されています。
人獣共通感染症は現代においても大きな脅威となっており、世界で毎年約10億人が感染するとされています。特に、移動が容易になった現代では、感染症が国境を越えて広がるリスクも高まっているため、注意が必要です。
ソース記事：https://news.yahoo.co.jp/byline/ishidamasahiko/20170622-00072390
